第二言語習得理論について

大学院ではTESL(英語教授法)専攻ですが、最近は第二言語習得理論(Second Language Acquisition/ SLA)が特に面白いな、と思っています。

 

第二言語習得はシンプルにいうと「どうやったら外国語ができるようになるの?」という疑問に答えるための学問分野で、言語学・教育学・心理学・社会学認知心理学 etc. が混在している感じです。教授法(メソッド)も文法訳読法、直接法、オーディオリンガルなどなど、こちらも流行り廃りによって色々ありますね。最近のトレンドは機械学習(ITとか)だそうで、時代に合わせて教育のニーズを満たすために常に進化しているといえます。まあどの分野もそうですが。

 

そもそも「外国語ができる」とはどのような状態を指すのでしょうか。言語というのは文法、音声、意味、文化、第一言語の影響などが複雑に絡み合っており、定義は非常に多岐に渡ります。

 

例えば、義務教育で英語を6年間も勉強しているのに日本人は英語を話せないとか、試験では高得点でも実際のコミュニケーションは苦手、といったケースをよく聞きます。果たしてこういう人たちは「外国語ができる」と言えるのか...というと、首を縦にふる方は少ないのではないでしょうか。したがって、私たちがイメージする「外国語ができる」状態とは、文法や単語の知識だけでなく、様々な場面に合わせて適切にコミュニケーションを取るために言語を運用できる能力と言い換えるとしっくりくるのではないかなと思います。

 

では、そうした能力を伸ばすためにどんな教え方をしたらいいのか?ということも気になります。私も平均的日本人として中学校で英語を勉強しはじめ、その後教員として高校で英語を教えたりしていましたが、スピーキングやリスニングを教える時ぶっちゃけ自分の教え方に自信を持てなかった。

 

というのも(今は宙に浮いてしまっていますが)数年前はセンター試験廃止後はスピーキングが採点対象になるということで、英語教師としてこの先やっていけるか非常に危機感を持っていたわけです。そんな中で理論的なバックグラウンドがなく、自分自身の学習経験しか引き出しがない状態は厳しいなと思い、もっとちゃんと第二言語を習得する過程や効果的な教え方について知りたい!!と思ったのが留学を志すきっかけになりました。

 

では実際に留学から一年経ってみてどうかというと、まだまだ第二言語習得については勉強する余地がたくさんあるな〜と感じています。(つまりよく分かっていない)日本では高校で英語を教え、現在アメリカで日本語を教えている・・・というように、振り返ると常に外国語を教えることを飯の種にしてきたわけですが、この二つの言語教育において共通する分野としてますます第二言語習得理論(SLA)って面白いな〜〜と興味が尽きないわけです。

 

現状、専攻がTESLにも関わらずネイティブスピーカーではない私がここアメリカでESLを教えられる機会を探すことが難しく、情けない話ですが自分の語学力では上級者レベルを教えられないのです。さらにコロナの影響で、本来Teaching practicumのためにやるはずだった地元の方向けのESLボランティアが開講されず八方塞がりの状態。(っていうか私は卒業要件を満たせるのか・・・?)

 

それとは逆に、TAとして日本語の授業を担当しているので日本語教育の方が必然的に関わる機会が多く、「あれ、私って日本語専攻だったっけ?」みたいな感じで自分を見失いかけています。たぶん教授によっては私がTESL専攻っていうこと忘れている気がする。日本語のクラスを取っている学習者さんたちはアニメやゲームなど日本が文化好きで授業を取っている人が多いので、モチベーションが高く本当に教えていて楽しい。それまで当たり前に思っていた日本語・日本文化を全く異なる視点から見ることができるのも新鮮です。

 

何より、ネイティブスピーカーとして自分自身に蓄積されている言語・文化の知識がそのままリソースとして使えるのが大きく異なります。自分の英語信用ならないし・・・。しかし面白いことに文法説明などを説明するのは英語の方が簡単に感じる。日本の英語教育の賜物ですね。

 

現在は自己啓発休業中のため基本的には日本に帰国して勤務校に戻る予定なのですが、自分の興味が移ってきたこともあり、MA取得後は日本語方面で就職またはphDを目指すのもいいなあ・・・とか妄想したりしながらYouTubeにうつつを抜かしている今日この頃。

 

明日からはSLA理論について記事をちまちま書いていこうかな、と思います。自分の備忘録も兼ねて。

 

お わ り

 

----

お ま け

*TA = ティーチングアシスタント

- 大学院生が学部生向けの授業の担当・補助をすることで、学費や保険料の免除+給与をもらうことができる制度のことです。詳しくは別記事で書きます。